25/01/06 進捗報告
あけましておめでとうございます。
2025年最初の進捗です。
Milky Way-like mass 定義
Milky Way-like massの定義について次のようにしていました。
ppdf = df[np.log10(df["StarsMassIn30pkpc"]/h)+10 >= 10.9][np.log10(df["StarsMassIn30pkpc"]/h)+10 <= 11.2][ np.log10(df["Group_M_Crit200"]/h)+10 <= 13]
つまり、24/12/02 RGM で報告したスライドは正確には間違いですね。

正確には、Host halo のビリアル質量が \(10^{13} M_\odot\) 以下であることが条件に入ってます。
この条件を入れるかどうかどうかで色々と違います。

ただ、この条件は1. ~ 4. の理由によるものです。(Pillepich et al. 2023)
1. 局所銀河群(Local Group)の質量に関する制約
局所銀河群(Local Group)、つまり銀河系やアンドロメダ銀河の属するグループの総質量は、さまざまな観測やモデルに基づき、最大でも \(8 \times 10^{12} M_{\odot}\) 程度であると推定されています。 この値には誤差が含まれますが、それでも \(10^{13} M_{\odot}\) には達しません。
このため、局所銀河群の規模を模倣する際には、より質量の大きなハロー(銀河団レベルの質量を持つもの)を排除する必要があります。そうでなければ、選ばれる銀河が過度に質量の大きいハロー内に属し、局所銀河群とは異なる環境になってしまいます。
2. 系統的なズレを避けるため
銀河の総質量推定にはモデルや技術の違いによる系統的なズレ(systematic deviation)が存在します。これを考慮し、安全側に倒す形で、質量が \(10^{13} M_{\odot}\) 未満のハローに限定しています。 この制限により、局所銀河群と同等の質量範囲で銀河を選ぶことができ、モデル間の差を吸収することが可能になります。
3. 類似環境の再現
局所銀河群の構成要素である銀河系やアンドロメダ銀河は、比較的小規模な銀河群の環境に属しています。そのため、大規模な銀河団に属する銀河とは異なる環境にあると考えられます。 \(M_{200c} < 10^{13} M_{\odot}\) という制限は、銀河団レベルの環境を除外し、銀河群レベルの環境を再現することを意図しています。
4. 他の観測との整合性
この制限は、SAGAサーベイ(Geha et al. 2017; Mao et al. 2021) など、局所宇宙におけるMW類似銀河の選択でも採用されています。 そのため、観測データとシミュレーションの結果を直接比較しやすくする目的もあります。SAGAサーベイも局所銀河群のような環境を対象としており、同じ質量上限を課すことで整合性が取れるのです。
ですので、統計的議論においてはこの条件は不必要かもしれません。
さらに、プログラムのミスも発覚しました。
\(10^{10.9} M_\odot\) 以上でセレクションしてしまっています。
Massive mass Halo
今回、Massive mass Haloは \(10^{11.2} M_\odot < M_{*}(< 30 \ \mathrm{kpc})\) としました。
Halo mass vs Stellar Massを見てみると

適切にMassiveな領域をセクレクションできていることが分かります。
Okamoto et al. 2014 によると、AGN feedbackの影響は質量の大きなほうが影響を受けそうです。

青色がSuperNova feedback(SN)とRadiation Pressure(RP)を加えているもの。赤色はさらにAGN feedbackを加えています。AGN feedbackを加えたことで、High mass側のGalaxy Stellar mass functionが落ちていることが確認できるかと思います。
Okamoto's AGN model
1. 背景
AGNフィードバックは、ブラックホールが成長し、そのエネルギーが周囲のガスに影響を与える現象です。これは星形成や銀河の進化に重要な役割を果たします。しかし、このプロセスには多くの不確実性が存在します。例えば、以下のような要因です。 - ブラックホールの種の質量 - ブラックホールへの降着率 - ブラックホール合体 - AGNからのフィードバックの影響
2. モデルの概要
このモデルでは、大きなハロー(ダークマターの塊)では放射冷却(ガスが冷えて星が形成されるプロセス)が抑制されると仮定しています。特に、1次元のダークマター速度分散がある閾値(しきい値)を超えると冷却が抑えられるとしています。
速度分散の閾値 \(\sigma_{th}(z)\) は、以下の式で表されます:
ここで、
- \( σ_0 \) は基準の速度分散
- \( z \) は赤方偏移(宇宙の時間経過と共に変化する距離)
- \( \alpha \) は赤方偏移による依存性を示すパラメータ
3. 冷却関数の変更
ハロー内の冷却関数 \( Λ(T, Z, σ) \) は以下のように変更されます:
これは、速度分散が閾値を超えると、冷却が指数関数的に抑制されることを意味します。
- \( β \) は冷却抑制の急激さを示すパラメータです。
4. 重要なポイント
- 急激な抑制を避ける工夫
冷却を突然ゼロにすると、銀河質量関数に不自然なバンプ(膨らみ)が生じます。
そのため、指数関数的に徐々に冷却が抑制される形を採用しています。
- フィードバックの効果
速度分散が大きいハローほどフィードバックの影響を強く受けるため、フィードバックの効果が赤方偏移と共に強くなるように設計されています。
具体的には、\( α = 0.75 \) と \( β = 0.3 \) という値を採用しています。
- AGNフィードバックの役割
このフィードバックがないと、高赤方偏移での星形成が過剰になりますが、このモデルでは高赤方偏移(\( z > 2 \))では大きなハローが少ないため、フィードバックの影響は比較的小さくなります。
5. まとめ
このモデルは、AGNフィードバックがどのように銀河の冷却と星形成を抑制するかをパラメータ化して記述しています。銀河の形成や進化をシミュレーションする際に、AGNが大きな役割を果たすことを示しており、特に大質量ハローでの冷却抑制が考慮されています。
AGN model Plot Curve (Sigma)
イメージしにくいかもしれないので、関数形をプロットしてみます。

これだと少しMassive Halo側でcoolingを抑えていることがわかりにくいので、massに変換してみます。
AGN model Plot Curve (Mass)
一般的に、ハローが大きく(質量が増加し)、重力が強くなると、速度分散は大きくなります。
理由:
ダークマターハローの質量が増大すると、ハロー内の重力が強くなります。これにより、ハロー内のダークマター粒子やガスはより高速で運動する必要があります。速度分散は、ハロー内の粒子のランダムな運動速度の広がりを表します。大質量のハローでは、重力が強いため、粒子が高速度で運動することで重力に対抗しようとします。
数式での表現:
速度分散 \(\sigma\) は一般的にハロー質量 \(M_h\) の関数として表され、次のように近似されます:
を使ってみましょう。具体的には(Munari et al. 2013)の

これを利用します。

こんな感じに急激にcoolingを落としていることがわかるかと思います。